MDS闘病記

骨髄異形成症候群(白血病みたいなの)にかかった歯学生が日常を綴ります。目的は①自身の体験の記録。②同じような病気の人たちの支えになること。

【各時期の症状と対応】誰かの役に立てば

(ここに書かれた内容は個人的なものです。他にも症状がでる場合があります)

『各時期の症状』

発症〜入院
・2週間続くセキ
・立ちくらみ
・息切れ
・ちょっとだけだるい

入院〜治療前
・痙攣発作

放射線治療、化学療法
・口の中の潰瘍
・だるさ
・頭痛
・脱毛
・口の乾き

無菌室中
・食欲減退
・筋肉量減少
・下痢
・腹痛
・切れ痔
・嚥下痛
・発熱
・頭痛、めまい
・吐気
・骨の痛み
・手のしびれ
・不眠
・顔全体に黄色いかさぶた

退院後
・手の震え
・健忘症
・発熱
・だるさ
・筋肉量減少
・食欲減退
・意欲減退
・寒暖差アレルギー
・下痢
・腹痛
・顔全体に黄色いかさぶた
・折れ目が裂ける(耳の裏、会陰、口角、目尻、脇、へそ)
・皮膚の乾燥(特におでこ、頭皮、目の周り、耳、首、腕、背中)
アトピー様の発赤とかゆみ(顎ライン、首周り、鎖骨周り、脇、肘裏、手首、手の甲、内もも)


『対応』
発症〜入院
・2週間続くセキ
・立ちくらみ
・息切れ
・ちょっとだけだるい
→同じ症状が2週間以上続く場合はクリニックではなく、紹介状を書いてもらって専門の医療機関で検査してもらうべきです。そのときに、一番辛いこと以外にもなんか変だな?と思うことを全て伝えるのがベストです。クリニックで2週間続くセキ症状だけだと、マイコプラズマ肺炎かもね。で、抗菌薬出されて重大疾患の見落としにつながります(クリニックでのその対応が間違っていると否定しているわけではありません)。

入院〜治療前
・痙攣発作
→全ての人で起こるわけではありません。僕の場合は痙攣の既往があったのと、レボフロキサシンという抗菌薬に敏感に反応するタイプだったのかもしれません。痙攣が起きた場合の対応は以下のサイトに詳しく記載されているので参考にしてみてください。

放射線治療、化学療法
・口の中の潰瘍
→口腔内を清潔に保ち、必要があれば痛み止めや麻酔薬の入ったジェルを塗布する。

・だるさ
→横になって安静にする。

・頭痛
赤血球が足りなくて脳酸素量が低い場合は輸血を。カロナールなどの鎮痛薬も役に立ったりします。

・脱毛
→僕はday3から抜け始めました。day-6から前処置を始めたので、10日目のことです。前処置前に思い切って刈り上げた方がいいです。髪を大事にしてる方には辛いですが、髪は抜けます。でも抗癌剤が抜ければまた生えてきます。無菌室にはコロコロは必須です(病院ごとに無菌室での治療に必要な物品リストが用意されているはずです)。

・口の乾き
→歯磨きを1日3回して唾液分泌を促進する。保湿液入りの洗口液で歯磨きのあとうがいする。ひどくなってきたら、保湿ジェルを使うこともできます。シュガーレスガムを噛むことでも、唾液分泌は促進されます。

無菌室中
・食欲減退
→栄養士さんと相談して、食べれそうなものを選択する。食べれるときに食べれるものを食べる。経口摂取は健康の鍵です。

・筋肉量減少
理学療法士さんが来てくれる場合は、メニューを決めて毎日リハビリを行います。理学療法士さんとの連携がない場合は、自分でメニューを決めてやりましょう。仰向けになって足首を手前にグッと引くとか、片足だけ上げるのを交互にするとか、お尻上げをするとか。もちろんできない体調の日もあります。でも毎日やることが、退院を早め、社会復帰に大きなメリットがあることは確実です。足の筋肉が落ちやすいので、気をつけたいところです。

・下痢
→僕はロペラミドという下痢止めを1日最高3錠飲みました。

・腹痛
→温めると少し良くなる場合もあります。レンジでチンする湯たんぽなんかが現代はあるので、病院で用意されている場合は、それを利用すればよいでしょう。

・切れ痔
→1日に15回も下痢をしてトイレットペーパーで拭いていると、肛門の粘膜に傷がつきます。傷がつく前にできることは、ウォッシュレットを利用することと拭き取りを軽くすることです。傷がついてしまったら、表面麻酔入りのワセリンがあるので、それを粘膜に塗りましょう。下記のフェンタニルでも痛みが軽減します。

・嚥下痛
→喉の奥の粘膜が荒れて、飲み込みが痛くなることです。僕の場合はフェンタニルという依存性の低い麻薬を調整して利用し、できるだけ口から物を摂るように心がけました。

・発熱
→移植後3, 4日目に42℃以上の熱が出ました。それは治まるのを待つしかない治療法でした。その後の38℃以上の熱は感染かGVHDかの鑑別のための採決を行い、アセリオ(解熱剤)を点滴して治めます。

・頭痛、めまい
赤血球が足りなくて脳酸素量が低い場合は輸血を。カロナールなどの鎮痛薬も役に立ったりします。これは前処置の際と同じです。

・吐気
→吐き気はほぼなかったのですが、食べたくない気分の時に食べ物の妄想をすることをしなければ大丈夫です。僕はあまのじゃくなのでやってしまいました。

・骨の痛み
→グランという骨髄生着を促進する薬、もしくは生着の副作用だと言われます。冷やすと少しよくなります。また、フェンタニルを早送りしてもらうことで少し改善します。

・手のしびれ
→骨髄の生着に伴い手先がピリピリするような痛みがあります。ペットボトルの蓋を開けるのも難儀なほどです。冷やすと少しよくなります。

・不眠
→発熱、下痢、腹痛、骨の痛み、手のしびれなどで寝れません。睡眠導入剤をもらう手もあるかもしれません。僕は開き直って、症状の軽い日中にウトウト寝てました。

・顔全体に黄色いかさぶた
→皮膚の免疫反応によるものと思われます。剥がさずにじっと剥がれるのを待つのがよいです。退院後もこれが起こったのですが、対人関係があるので剥がしてしまうと、結果長引くことになります。


退院後
・手の震え
→筋肉量の減少とプログラフ(免疫抑制剤)の副作用が原因だと考えられます。退院後1, 2ヶ月は気になりましたが、3, 4ヶ月もすれば改善してきます。

・健忘症
→急に現実世界に戻ったせいか考えることがいっぱいで、会ったり話したりする人がいっぱいで、誰に何を話したか忘れることがありました。「その話、前も聞いたよ」ってなかんじで。これも徐々に落ち着きます。

・発熱
→うちの病院では38℃以上出たら電話連絡するよう言われています。感染が原因かGVHDが原因かは判断が難しいので、電話か受診をしましょう。

・だるさ
→day100を越えたらだいぶよくなると聞いていましたが、僕はday120くらいまでは外に出る元気もなかったです(外は吹雪で寒そうだし)。これは個人差が大きいようです。

・筋肉量減少
理学療法士さんと協力しながら、辛い時でもがんばってリハビリしていたつもりですが、日常生活というのは想像以上に筋肉を使うようです。
雪道を10分歩くだけでヘトヘトでした。

・食欲減退
→食べる量が入院前の7割くらいになりました。僕は熱が出ると食欲が落ちるみたいで、そんなときはゼリー飲料やチョコレートなどの高カロリーなものを食べました。

・意欲減退
→体の調子が悪いと心の調子も悪くなります。なかなか外へ行く気も、やるべきこともできずにもどかしい時期がありました。やるべきことリストも大事ですが、やりたいことリストも同時に作って、並行してこなしました。

・寒暖差アレルギー
→歩いて体温が上がった後にデパートなどの暖房が効いたところに行くと、背中に突き刺すようなかゆみが生じました。対応は背中にもしっかり保湿剤を塗ること。脱ぎ着が楽な服を着ること。背中にはすずらんテープを利用して保湿剤を塗りました。

・下痢、腹痛
→これは感染症(急性胃腸炎)かGVHDかによって対応が真逆です。感染症ならを下痢と共にどんどん出して水分塩分を補給すること。GVHDなら下痢止めを飲んで、消炎鎮痛剤を飲むこと。感染症なのに下痢止めで菌をどんどん溜め込むと、感染が悪化してしまいます。退院後はこの判断が難しいので、体調に変化があった場合はすぐに病院に電話して先生に相談しましょう。先生は夜中でも当直の人がいます。ちなみに現在(5/4)はGVHDでお腹に症状が出ています。痛みは貼るホカロンで少し緩和される気がします。寝るときは低温火傷のリスクがあるので取りましょう。

・顔全体に黄色いかさぶた
→対人関係があるので顔のかさぶたは取りたいものです。でも取ってしまうと治りは悪くなります。できるだけ残しながら保湿剤でカバーするのがよいでしょう。女性はどうするのかなぁ。化粧でカバーするのもアリかもしれませんが、化粧落としの刺激が炎症を悪化させる恐れがあるので、先生、看護師さんと相談しながら決める方がいいです。僕なんかで人に会うのが嫌なくらい肌が荒れるので、気になる方はもっと気になるんだろうな。あとは友人に勧められたキク科のオイルや、アルガンオイルなんかも試してみています。

・皮膚の乾燥(特におでこ、頭皮、目の周り、耳、首、腕、背中)
→かさぶた期が終わると、こんどはカサカサ期になります。皮膚全体にシャワーのあとにヒルドイドローション(保湿剤)を塗ります。指の一関節分を両手に広げて、その面積分を同面積の患部に塗るくらいの量です。特にひどいところには、もっと粘りがあるクリームタイプを塗っています。

・折れ目が裂ける(耳の裏、会陰、口角、目尻、脇、へそ)
→これはGVHDが皮膚に出て乾燥が強くなり、ひびわれになってしまったものです。赤くかゆくなっている場合は下記のアトピーの対応、乾燥している場合はヒルドイドクリームやワセリンを塗ってしのぎましょう。

アトピー様の発赤とかゆみ(顎ライン、首周り、鎖骨周り、脇、肘裏、手首、手の甲、内もも)
→医療用語ではびまん性の発赤というのですが、じわーっと境界がわからないように赤みが出て、かゆくなります。ステロイド軟膏を塗って症状を抑えるのですが、顔と体ではステロイドの吸収効率が違うので、顔には弱いステロイド、体にはそれより強いステロイドを使います。